山口医学

Back to Top

山口医学 Volume 59 Issue 2
published_at 2010-04-30

Retrospective analysis of reduced intensity conditioning stem cell transplantation for hematological malignancies

当科における造血器腫瘍患者に施行したReduced intensity conditioning stem cell transplantationの後方視的解析
Ando Toshihiko
Mitani Noriyuki
Yamashita Koji
Nawata Ryohei
Takahashi Toru
fulltext
1.55 MB
B030059000201.pdf
Descriptions
血液悪性腫瘍に対し,ドナー血球の生着と抗腫瘍効果を期待し,従来骨髄破壊的・免疫破壊的な強力な移植前処置が行われてきた.この強力な前処置は毒性も強いため,若年者で全身状態の良好な患者にしか施行できなかった.しかし,これまでの臨床研究で,前処置の強度を軽減してもドナー血球が良好に生着することが確認されてきた.当科でも当初倫理委員会の承認を得て,2002年10月からReduced intensity conditioning stem cell transplantation(RIST)を開始している.今回我々は,2002年10月から2007年12月までに,初回同種移植としてRISTを施行した20症例について後方視的解析を行った.平均年齢は50.2歳で,疾患は悪性リンパ腫が8症例と最も多かったが,多岐に及んでいた.3年間の全生存,無進行生存,再発率,移植関連死亡はそれぞれ,57.8%,46.7%,31%,30%であった.移植血球生着については,好中球生着率100%で,生着中央日は13日であった.血小板生着については,移植後50日までで生着率94.3%で生着群での生着中央日は23日であった.移植片対宿主病(GVHD)については,急性GVHDは,grade II-IV 44.4%の発症率で,慢性GVHD発症率は移植後2年までで82.1%であった.また,移植関連毒性について多変量解析を行い検討したところ,高齢や臓器障害の有無は有意でなく,RIST施行の目的は果たされていると考えられた.これまでのRIST施行症例の移植結果をまとめるとともに,今後の方針について考察し報告する.
Creator Keywords
減量前処置(RIC)を用いた移植(RIST)
造血器腫瘍
同種移植
高齢者
臓器障害