水田土壌における易分解性有機物の意義と性質

Significance and Characteristics of Readily Decomposable Organic Matter in Paddy Soils

Creators Marumoto Takuya

Creators Yamada Yoshio

ハワイ大学，東西食糧研究所 （East-West Food Institute） の主催で， Fertilizer I. N. P. U. T. S. （Increasing Productivity Under Tight Supplies） Project の報告検討会（参加15カ国，約50名）が，タイ北部のチェン・マイ大学において，1977年5月18日から27日にかけて開催された。著者らは，プロジェクトメンバーの一員として会議に参加し，第一部門 Trial No.1 （Studies on N-efficiency improvement under flooded paddy conditions） において本報告を発表した。我が国における無窒素区の水稲収量は窒素施肥区の7～8割に達しており，さらに無窒素区の収量の高い土壌，つまり地力の高い土壌ほど米収量も高い傾向がある。東南アジアの国々においても，1，2の例外を除いてほぼ同様の傾向を示すことが，1975年に行なわれた INPUTS Trial No. 1 の試験結果から明らかになった。このように水稲収量を左右する主要な要因の一つが地力，いわゆる易分解性有機物であるが，東南アジア地域においては，水田土壌の地力に関する研究，たとえば，地力要因の解析，微生物による窒素固定と地力，有機物施用と地力，など未解決の問題が多く残されており，これらの関する国際的な研究や協力が必要である。（昭和52年6月30日受理）

[ISSN]0513-1715

[NCID]AN00244250